体外受精について

体外受精について

助成金について

◆Spindle ICSI(スピンドルイクシー)について【顕微授精関連技術】

紡錘体(ぼうすいたい,Spindle:スピンドル)とは・・・
卵の中にあり、染色体が整列・分離するために必要なものであり、受精卵の細胞分裂に重要な役割を担っています。

見えると何がいいのか・・・
核の状態と位置がわかります。染色体が紡錘体の中央に整列した状態は減数分裂中期を意味しており、卵子の成熟を示しています。紡錘体が観察できた卵子は、胚の発生や質に関連するとの報告もあります(Wang Q et al 2006, Lasiene K et al 2009)。また、紡錘体は核のすぐ傍にあるため、位置が分かることで、顕微授精の際に、傷つけないように避けて穿刺することができます。

どこにあるのか・・・
多くは第一極体の近くに存在すると考えられています。紡錘体は通常の光学顕微鏡では見ることができないため、第一極体の近辺を避けて顕微授精を行うのが一般的です。ところが、第一極体から離れた位置に紡錘体が存在する卵子もあると言われています。

Spindle ICSI・・・
当院では特殊な顕微鏡を導入し、卵子を観察することによって紡錘体の可視化ができるようになりました。これを利用することで、卵子にとって受精するために最高のタイミングで、紡錘体を傷つけない安全な位置に顕微授精を施行することができます。




第一極体から離れた紡錘体(スピンドル)

 


◆Ca(カルシウム)イオノフォアについて 【受精補助技術】

Caイオノフォアとは・・・
人為的卵子活性化法の一つで、細胞膜においてCaイオンの透過性を増加させる能力を持つ薬剤の総称です。細胞外のCaイオンを細胞内へ拡散させ、強制的に卵細胞質内のCaイオン濃度を上昇させる働きがあります。

Caイオンの役割について・・・
通常の受精過程では、精子と卵子の融合が起こると、精子の中にある卵子活性化物質が卵子内にある滑面小胞体からCaイオンを放出させます。放出されたCaイオンは卵子内に波状に伝播していきます。この反応により卵表層顆粒の分泌を誘発して多精子受精を防ぎ、また第二減数分裂中期(MⅡ)での減数分裂停止を解除し、再開させます。この一連の過程を卵子活性化といいます。その結果、第二極体の放出、2つの前核(父親由来、母親由来)形成、核融合が起こり、受精が完了します。つまり、卵子内のCaイオンの上昇は、卵子活性化および受精過程が進行するうえで、とても重要なことです。

Caイオノフォアの適応について・・・
受精障害や胚発生不良の症例に適応します。卵子活性化物質が存在しない精子の場合、顕微授精を行っても受精が起こらないことがあります。このような受精障害の症例にCaイオノフォアを作用させると、強制的にCaイオン濃度を上昇させることで、受精が起こると考えられています。また他にも初期胚で発生が停止する症例や、発育遅延、胚盤胞到達率が低い傾向にある症例にも有効であるとの報告もあります(T.Ebner et al 2015)。ただし、Caイオノフォアは世界的に行われている人為的卵子活性化方法でありながら、未だ安全性が確立されていないのが現状です。



◆ヒアルロン酸含有培養液について 【着床促進技術】

高濃度のヒアルロン酸含有培養液は、着床を促進する効果があるとされ、胚移植反復不成功患者に有効である可能性が報告されています。ヒアルロン酸の粘性による物理的保護作用、細胞間接着に関与する性質から、胚の着床率・妊娠率の増加が見込まれます。
当院では、2回以上の胚移植反復不成功の患者さんに対してヒアルロン酸含有培養液の使用を提案しております。反復不成功の患者さんに対する治療法としては2段階胚移植法やSEET法などいくつかの方法がありますが、これまでの治療歴・内容に応じた最適な対策をとるように常に心掛けております。