不妊治療について

田島 博人医師よりメッセージ

  • 田島医師よりご挨拶リプロダクションセンター 部長
    田島 博人
  • 「赤ちゃんが欲しくてもなかなかできない」「病院にいって検査した方がいいかもしれないけれどなかなか勇気が出ない・・・」「何度か不妊治療をトライしたけれど結果が得られない・・・」、このように不妊で悩む夫婦は年々増え続けており、その割合は6組に1組とも言われております。

    当院はそんな悩みをもっている方々のお力になることを課せられた社会的使命と考え、産婦人科医療が不足がちであったここ新百合ヶ丘の地に、総合的に不妊治療を行うことができるリプロダクションセンターを設立いたしました。

    最新鋭の機器を備えた胚培養室を核として、熟練した排卵誘発・採卵・胚培養・胚移植技術、そして数多くの経験を活かした内視鏡技術を駆使した理想の不妊治療を行ってまいります。

ともすれば陥りがちな技術中心や型にはめた考え方ではなく、心の通った丁寧な診療を、かつて皆様と同じく不妊で悩んだ私個人の経験もふまえて、スタッフ一同実践していきたいと考えております。

新百合ヶ丘の地は私の地元であり、多くの患者さんに幸せを運ぶことで、少しでも地域へのご恩返しができればと考えております。どうか末永く宜しくお願い申し上げます。

妊娠のメカニズム

卵子は卵巣の中で、卵胞に包まれるような形で成熟します。そして、月経周期の中頃(月経開始日から約2週間後)になると卵胞が破れ、卵子が排出されます。これが排卵です。飛び出た卵子は、卵管の先にある卵管采と呼ばれるひだでキャッチされ、卵管内に入ります。そこでタイミングよく精子と出会えば、受精となります。

受精卵は分割を始め、3~4日かけて子宮へと運ばれて行き、しばらくすると子宮の内側の膜にもぐり込みます。これを着床といい、妊娠が成立したことになります。排卵から約1週間の道のりです。全長50ミクロンの精子に比べ、卵子の大きさは直径約0.2ミリ。見ようと思えば肉眼でも見ることができます。この卵子がほぼ1ヵ月に1個、2つある卵巣の一方から排卵されます。

月経開始日から排卵が起こるまでの日数

基礎体温について

基礎体温は必須ではありません。つけることで逆に患者さんにストレスを与えてしまうこともあるためです。ただあれば情報が増えることにはなりますので、ある程度はお勧めしております。つけている場合は診察の時にご持参ください。その場合、数周期前の表を見直すこともありますので、少し前のものも可能であればお持ちください。

基礎体温は線で結んでつなげてください。また月日、および月経周期(月経初日を1日目として何日目にあたるか)、月経(X)、帯下(+)、性交(○)、腹痛、処方された薬の服用日などを記入してください。

基礎体温について

月経周期は排卵までの期間(卵胞期)によって決まります。また年齢と共に卵胞期は短縮する傾向があります。排卵後の高温期(黄体期)は一定(約12~14日)ですので、予定月経開始日から12~14日差し引くと排卵日が予想できます。体温陥落日が最も排卵日の可能性が高いとされていますが、それでも約60%であり、±1日程度の幅があります。測定時刻が変わっても、4時間以上睡眠した後であれば大きな変化はないとされています。測定方法につきましては、下図を参考にしてください。

基礎体温の正しい測り方

  • 基礎体温の正しい測り方午前5~8時±1時間
    1. 婦人体温計を使用します。
    2. 体温計を枕元に置いて就寝するようにします。水銀計の場合はあらかじめ振り下げておきます
    3. 毎朝目が覚めたら、床の中で静かに横になったまま体温を測ります。測定前にトイレに行ったり物を食べてはいけません。
    4. 測定時刻は、目が覚めたらすぐに、毎朝だいたい同じ時刻に測ります。18時間以上ずれた場合は、メモしておきます。
    5. 測定場所は口の中で、測定時間は正確に5分間です。体調不良や睡眠時間が短い時はメモしておきます。

月経周期について

  1. 月経周期の数え方は、月経開始日を月経1日目として、次回月経開始前日までの日数となります。
  2. 正常な月経周期は、25~38日の間で、その変動が6日以内のもの
  3. 卵巣機能が低下してくると、月経周期は短縮します(25~26日位に)
  4. 不妊治療中の方にとって、基礎体温は逆にストレスとなる可能性もあるので、必ずしもつける必要はありません。(余計な一喜一憂の原因となりがちです)
  5. 月経不順の方は2~3か月、基礎体温をつけて高温期があるのを確認できれば、排卵していることが見込まれます。
月経周期について

当院の治療方針

当院の治療はステップアップ法(自然のタイミング法→人工授精→体外受精/顕微授精)を基本としており、原因があればその治療を行った上で極力自然に近い形での妊娠を目指すわけですが、患者さん個々の状態は十人十色ですので、すぐに体外受精を始める方や、まず手術を行う方など治療方針は様々です。

ご年齢などで早めのステップアップをご希望の場合には柔軟に対応してまいります。また毎回治療経過および方針の確認を徹底していきますので、理由なく過剰・重複した検査や治療を行うことはありません。
(当院の治療可能な年齢は45歳未満とさせていただいております。)

当院の治療方針

タイミング療法について

経腟超音波にて卵胞のサイズが約20mm、子宮内膜厚が約10mmに達し、頚管粘液量が増量し、場合によっては尿中LH測定を行い陽性反応が出ると排卵が予測されます。このタイミングをお教えすることで排卵期に確実に性交渉をすることが可能となります。

タイミング療法について

人工授精について

精液の状態がよくない場合、フーナーテスト不良の場合、タイミング療法で結果が得られなかった場合などに行う方法です。

人工授精について

体外受精について

体外受精とは正式には体外受精-胚移植(in vitro fertilization-embryo transfer:IVF-ET)と呼ばれ、卵子を卵巣から直接採取して体外で精子とかけ合わせ、得られた受精卵を母親の子宮内に戻して妊娠を成立させる治療法です。

体外受精について