抄読会コラム

「子宮内膜がきれいに見える方が胚移植の妊娠成績が良い?」|リプロダクションセンター

産婦人科 医長 佐藤美和

掲載日:2025年6月17日

論文:Kazutaka Kuramoto, et al.Reprod Med Biol. 2024 Sep9;23(1):e12599. doi: 10.1002/rmb2.12599.

子宮内膜の見え方について

  • リーフパターンのイメージ
  • 子宮内膜は、月経周期の増殖期後期にエストロゲンの影響を受け厚みを増し、この過程で血管新生や間質細胞の増殖が促進されます。経膣超音波検査では、この時期の子宮内膜は木の葉のように見え「リーフパターン」と呼んでいます。私たちは内膜の厚みを測定するとともに、リーフパターンがきれいに見えているかどうかも気にしています。

研究の結果

今回、ホルモン補充周期において移植決定日の内膜パターンが単一胚盤胞凍結融解胚移植の妊娠転帰 (臨床妊娠率、生産率、流産率) と関連があるかどうかを調査した国内からの報告を紹介します。

リーフパターン及び部分的なリーフパターンは、非リーフパターンに比べて臨床妊娠率と出産率が有意に高いことが確認されました。また、非リーフパターンでは流産率が高いことが示されました。

内膜パターンの改善の可能性

一部の患者さん(7名)では子宮鏡検査により発見された内膜ポリープや慢性子宮内膜炎を治療することにより、非リーフパターンから部分的なリーフパターンへの改善を認め、その結果、6名は出産に至りました。

まとめ

子宮内膜パターンは凍結融解胚移植の妊娠成績において重要な予測因子であり、特にきれいなリーフパターンに見える方が良好な結果と関連していることが示されました。子宮内膜がきれいに見えない場合は積極的に子宮鏡検査を行い、病変を認めた場合には適切な治療を行うことが大切だと考えます。