ドクターコラム
「先進医療『膜構造を用いた生理的精子選択術:ZyMōt(ザイモート)』が採用されました!」|リプロダクションセンター掲載日:2025年6月6日
近年、受精後の胚の発育や生児獲得には卵子だけでなく精子の関与も報告されてきています。その要因の一つに精子DNAのダメージが考えられています。
-
体外受精、顕微授精での精子の調整方法は、遠心分離によって精子を回収する濃度勾配遠心法とスイムアップ法を組み合わせた方法が一般的です。しかし、遠心分離によって精子にダメージが 加わることにより、精子のDNAにもダメージ(DNA断片化)を引き起こすと言われています。
この精子DNAダメージは、胚発生の3日目以降に負の影響を与えると言われています。
ZyMōtスパームセパレーターという装置は、遠心分離せず特殊なフィルターにより精子を選別するため、精子へのダメージを抑えることができます。それにより受精率の上昇、良好胚盤胞率の上昇などが報告されています。
なかなか移植可能胚が確保できない方、何度か胚移植しても妊娠に至らなかった方が適応になりますので、そのような方にはZyMōtの使用を提案させていただくことがあると思います。
運動精子や精液量が極端に少ない方、凍結精子を使用する場合は実施することができません。先進医療実施施設に承認されましたので、保険適応の治療周期でも実施できます。費用は30,000円(税抜)となっています。もちろん自費診療の場合でも実施可能です。
TOKIBO