胚培養士コラム

「当院のPGT-A実績とラボの強み~数字が示す、安心と実績~」|リプロダクションセンター

胚培養士 秋元 諭

掲載日:2025年10月18日

はじめに:PGT-Aってなに?

  • 染色体イメージ
  • PGT-A(着床前胚染色体検査)は、体外受精で得られた胚の染色体の数を調べ、染色体数の異常がなく妊娠につながりやすい胚を選ぶための検査です。検査結果として、検査した胚ごとに「ABCD」の判定が付きます。(以下を参照)

    PGT-Aの基本的な仕組みや適応・長所短所の詳しい解説は、以前のコラム「PGT-Aとは」をご覧ください。
    ここでは、当院での実績を数字でお伝えします。

PGT-A判定の意味

  1. A=正常(正倍数性):染色体の数が正常。最優先の移植候補です。
  2. B=モザイク:胚の中で“正常な細胞”と“異常な細胞”が一部まざっているタイプ。医師と相談のうえ条件つきで移植候補になります。
  3. C=異数性:染色体の数に明確な異常があるタイプ。移植の対象外です。
  4. D=判定不能:検査結果が判断できなかったケース。

当院のデータ(PGT-A実施:79胚/平均年齢 40.8歳)

★単純比v率(A+B+C+Dを分母に取った場合のABCDそれぞれの割合)

【当院の実績】・・・A 27%B 6%C 66%D 1%

★AB判定比率(A+Bのみを分母に取った場合のABそれぞれの割合)

【当院の実績】・・・A 81%B 19%

★妊娠率(正常受精で且つA判定された胚の移植)

【当院の実績】・・・87.5%

※本データは現在までの集計で、今後も更新します。

この数字からわかること

1. A判定が多くB判定が少ない=環境が安定しているサイン

当院の実績ではAB判定比率の内訳でA判定 81%と高く、B判定19%と一般的な平均値と比較して低い結果でした。(一般的にAB判定比率におけるA判定の割合は、60~70%前後であると言われています。)

AB判定比率においてB判定(モザイク)の割合は、培養を実施している施設の技術力を含めた培養環境全般の影響を受けやすいとされ、B判定の割合が低いほど培養環境が安定している傾向があります。

当院では「Aをより多く・Bをより少なく」確保できており、当院の培養技術により胚にかかる負担を最小限に抑えられていると考えられます。

2. D判定が少ない=生検(PGT-A)技術が安定

当院のD判定 1%は非常に低い値。

生検や前処理・解析までの一連の工程が安定していることを示しています。

3.A判定胚を移植した際の妊娠率が高い=生検時のダメージが最小化されている

A判定胚の妊娠率は 87.5%。PGT-A全体の平均年齢が40.8歳と高めの集団でも、環境の安定と手技の精度が“結果”に反映されているといえます。

当院が大切にしていること

  1. 採卵~PGT-A~胚移植までを、当院独自のPGT-A技術認定を受けたスタッフのみが一貫して担当する。
    ※PGT-A技術認定スタッフ
    10年以上当院で培養経験を積み、スタッフ別の培養成績が高く、厳しい評価基準をクリアした技術者
  2. 24時間監視と夜勤対応で、胚のPGT-Aを実施する。
  3. とにかく、技術の最適化、環境の安定化、侵襲性の最小化を徹底する。

PGT-Aは万能ではありませんが、安定した培養環境と確かな手技がそろうほど、その価値は高まります。

当院はAB判定比率の内訳(A↑/B↓)、低いD判定率、そして高い妊娠率という三つの視点で、ラボ品質をお約束します。

「できるだけ少ない回数で、結果につながる選択を。」わたしたちは、その一歩を全力で支えます。