卵管鏡下手術|内視鏡手術について

卵管鏡下卵管形成術(FT: falloposcopic tuboplasty)とは

不妊の原因のうち「卵管因子」による不妊症は、全体の大きな割合を占めています。卵管が詰まってしまったり、狭くなることで、卵子や精子が卵管を通ることができない卵管性不妊症の患者さんに対し、カテーテルと呼ばれる細い管を経腟的に左右卵管に挿入し、極細の卵管内視鏡で卵管内の状態を確認したり、癒着を剥離して通過性を回復させる治療法です。

卵管性不妊症に対しては、体外受精に移行する前に試みるべき第一選択の治療法ですが、操作に熟練を要するため施行できる施設は限られています。片側の閉塞診断でも対側の卵管に病変があることが少なくないため、基本的に両側の卵管を治療します。

  • 卵管鏡下手術
  • 手術による卵管開通率は約90%、術後妊娠率は約30%でそのほとんどが術後半年までのご妊娠です。また、強固な癒着であった場合など術後に再び卵管が閉塞することがありえます(約10%)。

また、この卵管鏡下卵管形成術は体外受精と異なり、医療保険が適応されておりますので、高額療養費制度の対象となり還付金が発生します。

この手術の特に優れている点は、極めて低侵襲であることと、術後自然での妊娠が期待できることにあります。

日帰りまたは1泊2日の入院で静脈麻酔下に卵管鏡下卵管形成術は行われます。術後に再度子宮卵管造影検査や通水検査を行い、卵管通過性の確認(再閉塞がありえます)をしております。ただし患者さんの卵管の状態が厳しい場合、体外受精を早めにお勧めすることもあります。

卵管鏡下卵管形成術のながれ


  • 極細径(0.6mm)の卵管内視鏡(卵管鏡)と、細い管(卵管カテーテル)を用意し、カテーテルを膣から子宮へと挿入し卵管に近づけていきます。

  • カテーテルの風船(バルーン)を膨らませつつ、卵管の中へバルーンを進めます。生理食塩水を灌流しながら愛護的に操作が行われます。

  • 閉塞・狭窄した卵管を広げて通過します。この際極めて慎重な操作が必要です。

  • 卵管の遠位部まで進めた後、卵管内の様子を逆行性に卵管鏡を使って観察します。