体外受精について

体外受精について

はじめに

体外受精とは

体外受精とは正式には体外受精-胚移植(in vitro fertilization-embryo transfer:IVF-ET)と呼ばれ、卵子を卵巣から直接採取して体外で精子とかけ合わせ、得られた受精卵を母親の子宮内に戻して妊娠を成立させる治療法です。この方法は、一般不妊治療と異なり保険適応外の治療ですが、現在本邦では年間数万人以上の患者さんがこの治療を受け、顕微授精や融解胚移植を含めると一年間に一万人以上もの赤ちゃんが誕生しています。現在までにわが国だけでも体外受精で生まれた子どもの数は20万人を超え(世界では2008年に400万人超)、2007年には誕生した赤ちゃんの実に55人に1人が体外受精による赤ちゃんとなっており、すでに日常的に広く定着した治療法であると言えます。

体外受精は1978年にイギリスのグループが最初に成功して以来(2010年ノーベル医学生理学賞受賞)、瞬く間にその技術が世界中に広まり、現在では顕微授精・透明帯開孔法や胚盤胞移植法など様々な関連技術の進歩もみられ、安定して行うことが可能な状況にあります。また生殖に関わるこれらの治療法を総称して生殖補助医療(Assisted Reproductive Technology:ART)、もしくは高度生殖医療と呼んでいます。


不妊治療

体外受精に先立って、まず不妊原因の検索・治療が行われます。薬物による治療、腹腔鏡・子宮鏡・卵管鏡などの手術療法、人工授精など様々な方法で原因の除去に努め、極力自然に近い形での妊娠を目指すわけですが、それでも妊娠に至らない場合が体外受精の適応となります。不妊症の中で、一般不妊治療で妊娠する人の割合は約50%と言われており、そのほとんどが治療2年以内(70%以上が1年以内)で妊娠しています。従って、一般不妊治療を2年間続けても妊娠しない場合には体外受精を考慮すべきであると思われます。ただし年齢が高くなれば卵の質が悪くなったり、排卵誘発を行っても卵がなかなか発育しないなどの理由で妊娠率が低下してくるため、35歳以上では1年間の一般不妊治療で妊娠に至らない場合には、早めの体外受精を考慮します。

体外受精のメリット

体外受精のメリットは妊娠率が高いだけでなく、不妊の本当の原因が明らかになることとも言えます。通常の不妊症検査で異常が見つからなかったご夫婦でも、体外受精を行ってみると、それまで判らなかった卵の質、精子の受精能力、子宮の着床環境などについて問題があるのが明らかになることが少なくありません。
体外受精で妊娠される方のうち、その多くが3回の胚移植までに妊娠します。初回の体外受精で妊娠できなくても、その原因を診断し次回の方法を考えます。通常の体外受精法は卵巣刺激を毎月行うことはできませんので、3回採卵を行うには約1年かかります。ただし年齢の高い方や若くても卵巣機能が悪い方は、1回の採卵で取れる卵の数が少なく生理周期による卵の質の差も大きいので、通常よりも多くの回数の採卵を行う必要があります。そのような方も卵巣刺激方法を工夫して、休む期間を短くする(毎月・隔月採卵を行う)ことで同様に約1年を目途に治療をすすめます。

ご夫婦に適した方法を

最終的に妊娠を諦めなければならないご夫婦の多くは、妻の年齢、卵巣機能の低下、子宮内膜症の進行例などで卵の質が極端に悪い例、また精巣(睾丸)にも全く精子のいない無精子症や精子の遺伝子に問題のある例です。胚移植を計5回行っても結果が出なかった時には、今後の治療の継続についてよく相談させていただくようにしています。
当院では治療に精通した医師が卵巣刺激・採卵手術・胚移植を行います。また、現時点で考えられる最高の培養環境を整えており、熟練した胚培養士が的確な精子調整・卵子および胚操作を行います。
長い間妊娠しなかったご夫婦では、真の不妊原因が複数あることが少なくなく、根気のいる治療となってしまうこともありますが、同じ方法をただ繰り返す体外受精でなく、ご夫婦に適した方法を選んで全力で取り組んでまいります。