体外受精について
リプロダクションセンターホーム 胚凍結と融解胚移植

体外受精について

胚凍結と融解胚移植

胚の凍結保存と融解胚移植

 体外受精や顕微授精の治療において、排卵誘発・採卵を行った結果、良好な受精卵が数多く得られることがあります。この場合、胚移植後にも移植しない余剰胚が生じることとなり、これらを次回の治療のために凍結して保存しておくことができます。


  • 凍結保存のメリット
  • 1回の採卵で複数回の移植が可能となる
  • 多胎妊娠を減らすことができる(日本産科婦人科学会としては移植胚数を原則1個、年齢や治療回数を考慮して2個までは許容するとしております。当院ではこれを遵守して治療にあたらせていただきます)
  • より生理的なホルモン環境下や良い体調の時などに移植できる
  • 卵巣過剰刺激症候群の発生が予想される時、次周期以降に胚移植を延期し、その悪化を予防できます(妊娠した場合更に悪化するため)

 本邦においては、受精卵の凍結・融解胚移植により、年間約16000人の児が誕生しており、その有益性・安全性はほぼ確立されています。この方法は良好胚盤胞のみを凍結保存し、より生理的な環境で融解胚移植しますので、新鮮胚移植よりも高い妊娠率が得られます。


  • 胚凍結の時期

 凍結を行う受精卵の時期としては、前核期(受精翌日)、2~8細胞期(受精2~3日目)、桑実胚あるいは胚盤胞期(受精4~6日目)すべての時期で可能であり、余剰胚のグレードや数により凍結時期を決定しますが、胚盤胞期で凍結を行うことが多いです。


  • 凍結方法

 細胞を凍結すると、その中の水分は凝固して氷晶を形成し、約10%体積が増加すると言われています。この水分の膨張が細胞膜や細胞内の微細構造を破壊してしまうため、それを防ぐ凍結法として、現在ではvitrification法(ガラス化法)という急速に冷却・凍結する方法が行われています。高濃度の凍結保護剤(高濃度のエチレングリコール、ショ糖、フィコール)を含む溶液中に胚を濃縮した後、液体窒素内へ入れ急速に温度を下げることで全てのものを一瞬にしてガラス化(非結晶化)状態にし、細胞の破壊を防ぎます。凍結した胚は液体窒素タンク(-196℃)内で保存します。




  • 融解方法

 移植が決まり融解する時は液体窒素内から常温へ急速に移して温度を上げ、胚の融解用に調整した培養液を用いて耐凍剤を除去し、回復培養を行います。


  • 融解胚移植の方法

 以下の2通りの方法で子宮のホルモン周期をあらかじめ合わせておいて、最適なタイミングで胚移植を行います。


  • 自然周期による移植法
  •  卵胞ホルモン値と超音波による卵胞径の測定を適宜行って卵胞成熟を確認し、自然排卵の指令が脳下垂体から出る前にHCGの注射またはブセレキュア点鼻をします。その後36時間で排卵が起こるため、その予想排卵時刻に、凍結した周期の採卵から凍結までの時間を加えた時刻が融解胚の移植時刻となります。ただし、融解胚は成長が開始するまで数時間を要すると言われており、移植の数時間前に解凍して回復培養を行います。そして良好な胚を移植します。
     この方法のメリットは自然排卵を利用するためホルモン補充が最小限で済むところにあります。しかし、きれいな自然排卵が確認できずホルモンが不安定となった場合や、排卵日が特定できなかった場合には胚移植がキャンセルとなったり、あらかじめ胚移植の日を決めておくことができない(自然排卵日は変動するため)といったデメリットがあります。


  • ホルモン補充周期での移植法
  •  排卵障害や子宮内膜の発育障害がある時に用いられる方法で、GnRH製剤により自然排卵を抑え、卵胞ホルモンおよび黄体ホルモンを補充することにより、子宮内膜を十分厚くした上で胚を移植します。自然周期で子宮内膜が薄い場合や、卵巣機能が悪くホルモン動態が不安定な方、自然排卵がしにくい方でもホルモンを極めて安定させて移植が可能となること、人工的に周期を作るため移植予定日をあらかじめ決めておくことが可能であることがメリットですが、自然排卵後に出来るホルモンを分泌する黄体がないため、胎盤からのホルモンが分泌されてくる妊娠9~10週までの長期間ホルモン補充を必要とすることがデメリットです。