人工授精(IUI/AIH)|不妊治療について

人工授精(IUI/AIH)

精液の状態がよくない場合、フーナーテスト不良の場合、タイミング療法で結果が得られなかった場合などに行う方法です。細いチューブを子宮内腔へ挿入して、選別濃縮洗浄した良好な精子を排卵に合わせて注入します。これに伴う痛みはほとんどなく、注入後は数十分の安静のみで終了しますが、精子のカウント・調整に約40分かかりますので、読書でもしてお待ちいただければ幸いです。なお当院では攪拌密度勾配遠心分離法+培養液洗浄にて良好運動精子のみを濃縮して子宮内に注入する高精度の方法を採用しております。

人工授精

人工授精のメリット

  1. 排卵日に、より正確にタイミングを合わせて、子宮内に確実に精子を注入できます。
  2. 人工授精の妊娠率は5~10%程度とされていますが、この方法で妊娠される方は3~4回のうちに妊娠されることが多いため、5~6回(約半年間)程度行って妊娠に至らない場合には体外受精への移行を検討します。

人工授精のスケジュール

  1. 予想排卵日の数日前(月経周期が28日の方であれば、月経開始日を1日目として11~12日目前後)に産婦人科外来を受診してください(予約のない場合は電話予約をしてください)。経腟超音波検査により卵胞の大きさを計測し、排卵検査薬(検尿)を併用したりして排卵日を予測し、人工授精の日を決定します。
  2. 精液採取用の容器は人工授精日が決まりましたら外来でお渡しいたしますので、あらかじめ忘れずにお持ち帰りください。
    当日は採取後2時間以内に持参してください(1時間以内がベストです)。
  3. 採精当日までの禁欲期間(射精をしない期間)は特に設ける必要はありません。ただ男性の精巣では常に精子が作られていますが、禁欲期間が数週間~1ヶ月以上の長期にわたる場合は古い精子が混じり運動率が低下すると言われていますので、定期的な性交渉が精液所見を高めるのに重要であると思われます。また担当医より授精日前に自然にタイミングを取るように指示があった場合はそちらに従ってください。
  4. 子宮・卵管は直接腹腔内に通じており、感染予防のために注入する精液は極力無菌的に扱います。精液採取前には手をよく洗い可能であればシャワーを浴びてください。また専用容器は内部が滅菌されていますので、極力触らないようにしてください。射精は用手法にて行い、精液を全量、直接容器内へ入れてください。性交渉時の腟外射精や、コンドーム内への射出精液の回収は、不純物の混入の原因となりますので、ご注意ください。奥様は抗生物質を感染予防のために当日朝から内服していただきます。
  5. 精液は室温保存でお持ちください。冷蔵庫に入れる、カイロで温めるなどは精子を死滅させるおそれがあるため控えてください。
  6. 培養士による精液所見の測定、濃縮洗浄操作に約40分かかりますので、この間はしばらく席をはずされていて構いません。内診室では間違いを防ぐため、看護師および医師がご本人の氏名・生年月日の確認を行った上で、授精を行います。
  7. 少量の出血が続くことがあります。これは子宮の出口付近よりの出血であり、子宮内腔の損傷ではありませんのでご安心ください。また注入した培養液や洗浄液の逆流がありますので、授精当日にはご自分の生理用品をご持参ください。