Artificial Shrinkage 法について
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Artificial Shrinkage 法について
当院では 2020年 7月 1日より、レーザーシステムを用いた Artificial Shrinkage 法(AS法)と言う凍結保存技術を新しく導入しています。細胞を凍結する際には、凍結液と言う特殊な薬剤によって細胞の中から水分を抜く(脱水する)必要があります。水の分子は凍ると結晶化してしまい、それが細胞にダメージを与えてしまう為です。胚盤胞のように体積が大きく保有する水分量が多い場合、凍結液だけでは十分に脱水する事が困難です。この為、当院ではレーザーシステムを用いて胚盤胞の細胞と細胞の間にレーザーを照射し、細胞間に穴をあける事で胚盤胞の中の水を逃がし、脱水を補助します。これにより凍結時の胚に与えるダメージは最小限になり、凍結後の生存性は著しく改善します。
また、細胞間に穴をあけると同時に透明帯にも切開を入れる為、同時に Assisted Hatching(AHA)の効果もあります。

当院の検討では AS 法を用いる事で、凍結胚の融解後の生存率を高め、凍結融解における胚へのダメージを軽減させる事を確認しました。また、AS 法を用いた胚を移植した場合、従来法と比較して臨床妊娠率が向上する事も明らかとなりました。凍結融解時に1回の採卵で凍結された胚を2回以上に分けて胚移植する場合、Assisted Hatching を施行する方にとっては全体の料金も下がることとなりました。
融解後ダメージ | 融解後変性 | 臨床妊娠率 | |
---|---|---|---|
AS法 | 8.7% | 0.0% | 40.9% |
従来の凍結法 | 26.2% | 2.1% | 31.6% |